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真夜中の贈り物
第16章 ボイストレーニング
指示された通りに亜優が舞台に背をつけて身体を伸ばすと、鏡花はその横に膝をついた。
「普段、人間は胸式で呼吸している。これは肺の上半分だけを伸縮させて空気を吸っているということになるね。でも、こうして横たわると……自然と横隔膜で息をするようになる」
そう言って、亜優のお腹の上に手の平を軽く乗せる。
「あ……」
亜優は驚いた。本当だった。鏡花の手の重みで、自分の腹部が静かに上がったり下がったりしているのがわかる。
「寝ているとき自然に腹式になるのは、この姿勢だと肋骨を引っ張る筋肉よりも、横隔膜を動かす方が楽だから。身体が自然に選んでいるんだよ。例えばマラソンすると、肩で息をしたりするけれど、あれも疲労した状態でより大きく肺を動かそうという無意識の反応なんだ……」
そう言いながら、鏡花は上下する亜優のお腹に合わせて手の力を抜いたり入れたりして、動きを増幅させていく。
「普段、人間は胸式で呼吸している。これは肺の上半分だけを伸縮させて空気を吸っているということになるね。でも、こうして横たわると……自然と横隔膜で息をするようになる」
そう言って、亜優のお腹の上に手の平を軽く乗せる。
「あ……」
亜優は驚いた。本当だった。鏡花の手の重みで、自分の腹部が静かに上がったり下がったりしているのがわかる。
「寝ているとき自然に腹式になるのは、この姿勢だと肋骨を引っ張る筋肉よりも、横隔膜を動かす方が楽だから。身体が自然に選んでいるんだよ。例えばマラソンすると、肩で息をしたりするけれど、あれも疲労した状態でより大きく肺を動かそうという無意識の反応なんだ……」
そう言いながら、鏡花は上下する亜優のお腹に合わせて手の力を抜いたり入れたりして、動きを増幅させていく。