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真夜中の贈り物
第16章 ボイストレーニング
(本当だ……)

 鏡花の手に押されると、その力で横隔膜が押し上げられ、より沢山の息が吐き出される。そして、その反動も使って今度は横隔膜を下腹に押し下げるイメージで空気を吸い込めば、肺の全体を使って酸素を大量に蓄えることができた。

 亜優は改めて彼女に尊敬の念を憶えた。感覚ではなく、きちんと論理的な説明を受けると、悩んでいたことが馬鹿みたいに思える。ちゃんと考えれば良かったんだ。どうして調べたりしなかったんだろうと、自分の未熟さが恥ずかしくもあった。

「ありがとうございます!」

 と、顔を輝かせて起き上がろうとする。しかし、鏡花がそれを押しとどめた。

「もう少しそのままで……」
「え……?」
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