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真夜中の贈り物
第3章 教官は世界の果ての 後篇
 ヴァギナス……誰が名づけたか、このロボット。
 だが、その名の通りだ。本物の女性器のように温かく、濡れた感触が「俺」を覆う。

 俺はコイツに性感といっしょに支配の念を送ることで操縦し、コイツはそれに従いながら、俺を絶頂させて支配からの解放を果たそうとする。

「根競べだな……」

 機械なんかに負けてたまるものかよ。

 だが、波を蹴立ててヴァギナスが目的地に到着した頃には、俺はもう限界寸前にまで追い詰められていた。

「くっ……ううっ……ふっ……ち、畜生……」

 モニターには敵の機獣兵の姿。

 それは体長30mはあろうかという巨大なゴリラだった。
 キングコングだ。

 喘ぎながら覚えた第一印象はそんな感じだった。

 違う点もあった。
 腕が多い。4本ある。俺たち人類……というより、霊長類か。
 類人猿に似た長くて太い腕が左右に二本。そして身体の前後に二本。

 あと、鼻の下の長いゴリラ面には巨大な目玉がひとつだけ。
 サイクロプスって言うんだっけか、こういう化物。

 ひとつ眼4本腕キングゴリラだ。

 そいつがこちらに気づいて近寄ってくる。
 その一歩一歩の度に地響きが伝わってコックピットが揺れた。
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