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Memory of Night
第8章 花火

 本当は、心のどこかでずっと感じていた疑惑だったのかもしれない。
 口に出した途端、それはますます現実味を帯びたような気がした。
 宵に肯定されるのが怖くて、宵の顔を見なかった。
 だが自分から質問しておいてその態度もどうかと思い、横目で宵の様子を窺う。
 意外なことに、宵はめいっぱい瞳を見開き、鳩が豆鉄砲をくらったような顔で唖然としていた。

「……?」

 その顔に、晃もどう反応したらいいのかわからなくなる。
 やっぱり目大きいなぁ、なんてどうでもいいことを考えていると、突然宵が吹き出した。
 背中を丸めるようにして、しばらく笑っていた。
 その反応に今度は晃の方が呆然としてしまう。
 宵は笑いながら、手をぱたぱたと振ってそれを否定した。

「ないないないない。ありえねーってそれは」

 くつくつと肩を震わせながらすっぱりと切り捨てられて、晃は拍子抜けしてしまう。

「本当に?」
「本当も何も、やだよあんな世話のやける女は。だいたい、あの人とは十近く離れてるんだぜ? 恋愛対象になんかなんねーよ」
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