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Memory of Night
第11章 罠
はっ、と一笑し、なぁ、と同意を求めるように声をかける。周りにいる男達の間からいくつかの含み笑いが洩れた。
やはり、違法ドラッグに手を出しているのは金髪だけではないらしい。
宵は瞳だけを巡らせて、自分の腕を掴む男二人とさきほどまで宵を取り囲んでいた二人、さらに金髪の隣でずっと傍観者を決め込んでいる男を順に見やった。
だが、誰が違法ドラッグをやっているのかまではわからない。
金髪男は舐めとった血を地面に吐き出し、ズボンのポケットから何かを取り出した。
「……!?」
ニヤリと、金髪が笑む。
細い針の先を鈍く光らせ、金髪の手の中にあるそれは、一本の注射器だった。
金髪はそれを見せつけようとするかのように、宵の目前に針の先を持ち上げる。
容器いっぱいにわずかに濁った、ほとんど透明に近い液体が入っているのが見えた。
宵はとっさに体を後ろに引こうとしたが、両腕を拘束する男達に制止させられる。身構える体が強張った。
殴られるのは覚悟していた。仲間を引き連れ待ち伏せしているのを見つけた時から、集団リンチに持ち込む気なのであろうこともわかっていた。