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Memory of Night
第11章 罠

「あたしが初めて宵と会ったのは、今からちょうど七年前――あの子はまだ小学生で、あたしは19だった。宵の両親は交通事故で亡くなってるの。……宵に聞いてる?」
「はい」

 晃は頷いてみせる。

「そう。宵のお父様と知り合いだったから、あたしのところにも連絡が来てね。慌てて駆けつけたら……あの子がいた」

 志穂が目を閉じ、何度か小さく咳き込んだ。
 それから自嘲気味に口の端を歪める。

「知り合い、なんて言い方はずるいわね。浮気相手だったの、あたしは宵のお父様の」
「……でも、たった一回きりでしょう?」

 膜が張ったように濡れた瞳で独白のように語る志穂に、たまらず口を挟んだ。
 志穂は首を振る。

「一度きりでも浮気は浮気。それに、体の関係は一度きりでも、何度か会っていたのは事実だもの」

 志穂の話すペースは変わらない。小さな声で淡々と、後悔と懺悔の入り混じった口調で話す。

「宵は、あたしがその罪滅ぼしで自分を引き取ったって思っているみたいだけど……確かにそれもあるけど。……宵を引き取った一番の理由は他にあるの」
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