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Memory of Night
第4章 過去
「大河さん、知り合いだったんですか?」
困惑したように尋ねる医師に、志穂は頷いた。
「父さんと知り合いなの……?」
宵が繰り返し、最後に友達? と聞くと、途端に志穂は激しく首を振った。
「違うの……! ……わたしは、あなたのお父さんの……浮気相手だったのよ……っ」
言いながら、志穂は宵の体を抱きしめた。
「寝たの……。……子供もいるってわかってたのに。ごめんね……――」
『浮気』とか『寝た』とか、その頃の宵にはよくわからなかったけれど、泣きながら謝る志穂の姿に、それがいけないことなのだということだけはわかった。
宵にすがりついたまま、志穂はしばらく子供のように泣きじゃくっていた。
痛いくらいに抱きしめられて、宵が戸惑ったように志穂を見る。
でもその腕は温もりが伝わってくるように温かくて、振り払おうとは思わなかった。