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Memory of Night
第4章 過去
宵を育てるため、志穂は必死になって働いてくれた。食費、学費、養育費などにずいぶんと金がかかるのだろう。
体が弱い志穂のことが宵は心配だったが、まだ小学生だった宵には家事を手伝うことくらいしかしてやれることがなかった。
宵が中学生になった頃。志穂の様子が急変した。
それまでは月に一、二度だった通院が週に一度のペースになり、薬の量も増えたのだ。
夜中に食べた物を吐いてしまうこともあり、その度に宵は心配したが、志穂はただ首を振り弱々しい笑みを浮かべるばかりだった。
食事もほとんど採らなくなり、志穂はみるみるやつれていった。
そして志穂は、宵が中学二年生の時に、突然倒れ病院に運ばれたのだ。
かけつけた宵に、弘行は志穂の容態を説明した。
志穂はもとから体が弱い。それに加えて過労。
そして、喉に腫瘍ができる病気を患っていることも弘行に打ち明けられた。
「だったら……、なんでもっと早く入院させなかったんだよ!?」
弘行に詰め寄り、胸ぐらを掴んで宵は怒鳴った。弘行はただ、肩を落としてうなだれている。