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恋花火
第19章 愛情オムライス
陸先輩との初デートは、とってもとっても楽しかった。


二人で過ごす時間が多くなるほど、距離も近くなった気がして嬉しい。


海君も華ちゃんも可愛かった。


海君はきっと、お兄ちゃんに憧れてサッカーやってるんだろうな。


私は兄弟がいないから、そういうのすごく羨ましい。


弟か妹が欲しいと思ったこともある。


けれどおじいちゃんが、タケルがいるからいいだろってよく言っていたから、じゃあいいか〜って、タケルがいてくれるからいいか〜って……思ってたんだ。


……そのタケルとも、今はもう、話さない。


兄弟でもなく、友達でもない私たちは、他人なのだろうか。





無事試験も終了し、今日から部活が始まる。


となると当然、タケルと顔を合わせることになる。


それは楽しみでもなんでもなくて、むしろちょっと、憂鬱。


いつもは部活に行けばすぐにからんできて、肩揉んでだの喉乾いただのってうるさかったけど……


タケルの姿を確認する前に


速攻で話しかけてきたのはユリ先輩だった。


「陸と付き合ってるって本当?嘘だよね?」


ここで嘘をつく必要はないので、本当だと告げると、ユリ先輩は目をまん丸くさせてから笑った。


「菜月ちゃん、陸のこと何も知らないんでしょう?」


それってどういう意味?


良い意味ではないことは聞かなくてもわかるけれど。


ユリ先輩は申し訳なさそうに眉毛を下げ、言葉を続ける。


「……あたし、勘違いして意地悪なんかして、茜に悪いことしちゃった。一番ひどいのは茜じゃなくて陸だった。茜の気持ち知ってて菜月ちゃんと付き合うなんて……。」


ユリ先輩の言ってることの意味を理解するのは、今の私には到底無理な話。


「人の不幸の上に成り立ってるんだよ、菜月ちゃんと陸の恋愛は。」






どういうこと


ねぇ


どういうこと?




私は何も考えることが出来ずただ


立ち去るユリ先輩の背中を見ていた。
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