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恋花火
第20章 眠れNIGHT
「あ」


ユリ先輩に爆弾を落とされた翌日、朝家を出たらタケルにバッタリ遭遇した。


最近はいつもより早い電車で陸先輩と登校してたのに、今朝は寝坊してしまい遅くなってしまった。


夜更けまで色々と考え事をしていたら眠れなくて、ようやく眠りらしい眠りについたのは明け方だった。


「シカトすんなー」

「……だってなに話せばいいかわかんないし。」


挨拶もせずに歩き出せば、背中から話しかけてきた。


「おまえは近所の住民に挨拶もしねーのか。」

「……タケルだけだもん。お向かいのおばさんにはちゃんと挨拶するもん。」

「なにその差別。」


大石さんちのタケル君は、テクテクと私のあとをついてくる。


「あとつけたくてつけてるわけじゃねーし。駅そっちなんだし。」

「わかってるよ。」

「つーかさ、なんで俺らこうなっちゃったんだっけ?」


タケルはストレートに聞いてきた。


え、ていうか、まだそこ理解してなかったの!?


「……タケルに好きな女の子がいるとします。」

「誰それ」

「茜先輩だとして。他の男の人と仲良くしてたら嫌じゃない?モヤッとしない?」

「例えば誰よ?」

「陸先輩とか?」


自分で言っておきながら、その場面を想像してハッとする。


例にあげたけど、例というかもしかして事実かもしれない。


茜先輩はもしかしたら


タケルじゃなくて陸先輩のことを……


「陸先輩かぁ。まーあの二人元から仲良いし別に……ってえぇ!?なんで泣いてんの!?」

「泣いてない」

「いやいや。涙も鼻水もぶったらしてなに言ってんすか」

「泣いてない。これは心の汗なの!」


……しまった。これは陸先輩に言われたんだった。


タケルは、うまいこと言うなおまえ〜とかって感心してるけど……


「……タケルのせい」

「はぁ?なにが?」

「タケルがちゃんと夢中にさせないから、茜先輩は……」


思わず口走ってしまった。


こんなこと、他人の口から聞いていいはずないのに。


なんて馬鹿な事を言ってしまったのか。


そう思っていたら、タケルは笑ってた。


「なんだそのことか。」って……


笑った。
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