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恋花火
第24章 星空の下で
鳴り響いたのは聞き覚えのない着信音


私のではない、陸先輩の携帯電話だった。


陸先輩は一瞬だけディスプレイを確認したけど、電話には出なかった。


「出ても大丈夫ですよ?」

「…急ぎじゃないし、あとで。」


そうしているうちに着信は切れた。


こういう時、夢から醒めた気分になる。


さっきまでのフワフワした二人だけの世界から、たくさんの人がいる世界に戻ってきた。


するとまた、鳴り出す電話。


「…急ぎかもしれないですよ?」


実はさっき、陸先輩がディスプレイを確認した時に見えてしまった。


"あかね"


そう表示してあった。


陸先輩はベッドから起き上がり、私に背を向け、三度目の着信に陸先輩は応答した。


「…なに?」


いつもの陸先輩とは違う、少し冷えた声色。


いけないと思いながらも、聞き耳を立ててしまう自分は悪趣味だ。


意識しているせいだろうか


電話の向こうの声は私の耳に、悲しいくらい鮮明に届く。
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