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恋花火
第24章 星空の下で
それは確かに


間違いなく聞こえた。


"陸……どういうつもり"


茜先輩の声は、陸先輩よりもずっと冷えた声をしていた。


いつもの優しくて温かい声ではない。


"私の気持ち知ってて______"


ギクリとした。


それは以前、ユリ先輩がまるで同じ台詞を口にしていたから。


陸先輩は、あとで掛け直すからと何度も言っていたが、茜先輩は譲らなかった。


それほどまでに強い意思が感じられた。


______さっきまでの夢みたいな時間は、本当に夢だったのだろうか。


私は急いで衣服を身につけた。


「ちょっ、菜月ちゃんどこ行くの?」

「もう……、いいんです。」

「いいってなにが?」

「陸先輩…、本当に好きな人の所に行ってください。私は大丈夫ですから。」


私は部屋を飛び出し、階段を駆け下りた。


夢中で飛び出したから、薄着のまま飛び出した外は寒かった。


どこに行けばいいのかな


自分の家を飛び出してしまって


私はどこに向かえばいいの?









「菜月!」


名前を呼ばれた。


大きな大きな声で。









「……タケル」


私が逃げ込んだのは、誰にも見つからないと思った場所。


隠れるには最適な、星空公園のロケットの中。


「おまえ!なにやってんだよ!」


…そうだった


ここはタケルとの思い出の場所


私が知っている場所は全て、タケルも知っている場所


タケルは私に何度もバカと言いながら


強く優しく抱きしめた。


それは昔からなにひとつ変わっていない


あったかくて、安心する腕の中。
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