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恋花火
第26章 ねぎみそ 愛の劇場
「いきなりこんなことになって、私だってわかんないよ!」


タケルに対して、強い口調で言ってしまう。

それはそれは醜くて身勝手な、私の心の声。


「タケルが茜先輩とキスしてた時、私いっぱい泣いたよ!そこで向き合えば良かったの?聞けば良かったの?」


ショックだった。


大好きだったタケルが、茜先輩に盗られたと思った。


私は茜先輩のことも大好き


それは本当なの


だけど


どうしたらいいの


わからない


全然わからない



「茜先輩も茜先輩だよ!意味わかんない!私に直接言えばいいじゃん!私とタケルのこと知ってて…どうして今になって言うの!?」

「…もっと早くに言えるなら言いたかったと思うよ。だけど、言えなかったんだろ。」

「なんでよ!私やっと陸先輩と幸せになれると思ったのに…!なんで!?」

「だから陸先輩と向き合えって」

「なによ今更…もう遅いよ!」


こんなに声を荒げて


本当に見苦しい


そう


私は悪者になりたくない


逃げて逃げて


逃げまくって


本音を隠しても円滑に事がすすむのならそれでいい


「タケルも茜先輩も嫌い…、大嫌い」


誰か


誰か止めてよ


私を止めて


「……それが本音か」


タケルはそんな私に


いつもなら応戦してくるのに


今日は違った


悲しそうな顔で


消え入るような声で


「ごめんな」


そう、呟いた。











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