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恋花火
第29章 雨上がりのレインボー
勘違いしていたとはいえ、茜先輩にはたくさんヤキモチを焼いた。


タケルと茜先輩のことを、なかなか祝福できずにいたのに


私と陸先輩のことを、タケルは祝福してくれる。


「……そんな簡単に祝福できちゃうんだ。」

「は?」

「私と陸先輩のこと。」

「なに言ってんのおまえ」


ほんと…


なに言ってんの、私。


「いつも私ばっかり追いかけてたってことだね。」

「なんの話?」

「別にー」


意味わかんない


私はいつもタケルといると、訳わかんなくなる。


「なに怒ってんだよ」

「怒ってない!」


早く、早く私を元に戻して


陸先輩がいつも私を息の出来る方向へ連れてってくれるの


早く……


……私、最低。


楽な方へ逃げることしか考えていない。


タケルを責めることしか浮かばない。


「うー」

「なぜ泣く。」

「わかんない……」


考えて考えて


考えまくって出るのはいつも答えじゃなく、涙。


「……もうおまえが泣いてても俺はなにもしてやれない。」


わかってる


わかってるよ


「あんま陸先輩困らせんなよ。」


そう言って、タケルは部屋を出て行った。


タケルが開けたドアからはヒュッと冷たい風が入り


少しだけ頭が冷えた。
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