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恋花火
第36章 壊れた積み木
「ん?なぁに?」


二川原さんは、笑顔で振り向いた。


……さすが一年女子ナンバーワン


もう放つオーラが凡人離れしている。


だけど、だからって二股は良くない。


絶対良くない!!


「あのっ……」

「おいブス ミーティング始まる。」

「えぇ!?」


せっかく呼び止めたのに、急に現れたタケルに邪魔された。


そもそもタケルがここにいたんじゃ、二川原さんとあの事話せないよ!!


「えっと、あの」

「いいから行くぞ」


ズルズル……引きずられていく私を、二川原さんがキョトンとした表情で見ていた。



「タケル!」

「なに」

「えっと……、二川原さん応援してくれるなんて心強いね!」


あぁ〜!心にもない言葉が口から勝手に出る。


「……別に応援とかいらねーし。」

「またまた。」


もしかしたら


今日タケルが思いっきり試合で活躍したら


二川原さんも惚れ直してタケルだけにしぼってくれるかもしれない。


でもそうなると栗林翔太が悲しい思いをするわけで……


「あーもー!どうしよう!」

「は?なにが?」

「え、あ、いや。なんでもない……」


するとタケルは、ブハっと噴き出した。


「おまえ、やっぱ今日顔ヤバ。」

「あん?」

「今朝電車乗ってた時から思ってた。ちょーブサイクなんすけど」

「はぁぁ?」


誰のせいでブサイクだと思ってんの!?


一睡も出来ないくらい、タケルのこと考えてたのに!


「ウケる〜」

「こっち見るな!」

「いいじゃん、俺好き。おまえのブサ顔。」


頬がちょっと火照るのは、きっと


これから大切な試合が始まるから


緊張のピークだから


……ただ、それだけのこと。


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