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恋花火
第38章 rainy day
「……!?」


タケルはいきなり、キスをしてきた。


「やっ……、なに!?んんっ…」


それもものすごい腕の力で抑えられて


逃げられない


「……専属マネージャーなんだろ」

「は……!?」

「だったらやらせろよ」


本当にこの人はタケルなのだろうか


こんなタケルは見たことがない


力強く腕を引っ張られ


そのままベッドに倒された


抵抗もままならないまま、再び重ねられた唇


この感触は知っている


だけど目の前にいるタケルは、まるで知らない人みたいだ。


唇の隙間から入り込む舌は、よく知る温度なのに


なんで……


たまらなく悲しくて


瞳からは涙がこぼれた。


「……抵抗しないんだな。」


タケルはそう呟き、また____






長い長いキスの時間が終わり


呆然としたままタケルを見上げた。


「用事ないのに来るからだろ。来るなって言ったよな?」


タケルはなにを言ってるんだろう


頭が追いつかない


日本語なのに理解できない


「もう、俺とおまえは他人なんだ。話しかけんなよ」


……意味わかんないよ。


さっきまで、笑いながら唐揚げ食べてたのあんたでしょ


泣きそうな顔してさ


決勝戦見てたくせに


なんで急に男になるの


なんで急に


他人なんだよ……


私はフラフラと立ち上がり


カバンを持って病室を出た。


……すると、そこには


陸先輩が


立っていた。
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