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恋花火
第41章 Bom!
タケルのその一言で、周囲がワッと騒ぎになった。


「……おまえ、マジかよそれ。」


そんなレンの問いかけに、タケルは頷いた。


「菜月、知ってたの?」

「……知らなかった。」


タケルのお母さんから、家を出るという話は聞いた。


だけど


高校辞めるってどういうこと


東京行くってどういうこと…?


「……本当は、全国終わってから言うつもりだった。」


タケルは言う。


全国大会を終えて、桜が咲くのを待たないうちに


東京に行くって……


「そっか。まー遠く行っても頑張れよ!」


亜美は明るくそう言って立ち去った。










「菜月ちゃん?終わったよ?」


陸先輩に話しかけられて、ハッとする。


私はどれくらいぼんやりしていたのだろう。


いつのまにか祝勝会はお開きになり、ボチボチと人が帰り始めていた。


「あれ?携帯がない。お財布どこ入れたっけ……。」


たくさんの忘れ物をしながら、家路につく。


「さっみ〜」

「……本当に寒いですね。そろそろ雪が降りそうですね。」

「そうだねー」


……雪が降って、全てを白で埋め尽くして


それが消える頃には、もう……


ふうっと息を吐くと、モクモクと白い煙が空に舞い上がって行く。








"見てー、タバコの煙みたいでしょ?"

"ほんとだ。つーかその顔、マジでブスなんだけど"

"はぁ?"

"タコみてーな口してる"


寒かったあの日の帰り道


鼻を赤くして歩いたね


私は誰もいない、真っ暗で冷え切った家に帰るの


"ただいまー"

"なんであんたがただいまなのさ"

"俺んちみたいなもんでしょ?"

"違うから"

"でも俺、ここにいる時間のが家いるよりなげーもん。今度着替え置いておくことにする"


私の家には


たくさんの物があって


歯ブラシ、パジャマ、枕、漫画、ゲーム、制服のシャツ


窓の鍵、使わなくなった昔の携帯電話


お揃いのマフラー


ランドセルを背負った二人の後ろ姿を写した写真


泣き顔の二人


ぶかぶかの学ランを着た、彼の____








「……菜月ちゃん……」

「ごめんなさい……」



陸先輩がいるのに


ここにいるのに


涙が止まらないのは、どうして。




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