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恋花火
第48章 Do not cry
薄暗くなった部室に陸先輩と二人きり。


いつも二人になるとワクワクしていた胸は今日、張り裂けそうになっている。


だけど言うってもう決めた。


ずっと誠実でいてくれた陸先輩に嘘はつきたくない。


正直に話そう、そう思うから。


「陸先輩……」


言うと決めたら速攻。


そんな私に、陸先輩は「ちょっと待って」と、ストップをかけた。


「俺からひとつ、いい?」


ノーなんて言えるはずもなく、陸先輩の言葉を待った。


「……今日学校来てなかったよね。タケルといたの?」


ここで嘘はつく必要はないので、私は正直に答えた。


「タケルとキスでもしちゃった?」


その質問にも私はイエスと答えた。


「……ごめんなさい。」

「…キスくらいじゃ怒らないよ?前だってされてるし。いちいち怒ってたら身が持たないよ。」

「陸先輩、違うんです。」

「……なにが?」

「私から、したんです。」


そう


今日のキスは、タケルからじゃない。


私がタケルとキスをしたくて交わしたキス。


「……キスだけ?」


その質問に答えるのには、少しだけ躊躇した。


けれどここで誤魔化すことは、どうしても出来ないと思った。


「……キスだけじゃないです。」

「……。」

「身体も……」


そこまで言いかけたところで、陸先輩が私の肩を掴んだ。


「なんでだよ!」


こんなに声を荒げる陸先輩は、初めて見た。


サッカー部キャプテンとしての陸先輩は知っていたけれど、いつも冷静だったから……。


掴まれた肩は、少し、痛かった。


「陸先輩……」


泣くな


泣いたらダメだ。


私には泣く資格なんて、ほんの少しもないのだから。


陸先輩は私の肩を掴んだまま、項垂れていた。


"つむじ可愛い〜グリグリ"


可愛くて大好きだった陸先輩のつむじ。


私の肩を掴む、少し震えているその手で


何度も癒してくれたよね。


でも、私


どうしてもタケルじゃなきゃ……


ダメなの。
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