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恋花火
第51章 友情と愛情
泣きたくないのに


喉の奥が勝手に苦しくなって


目頭が熱くなり、視界がぼやける。


頬を伝う涙は熱い。


陸先輩の前で、タケルを想い泣くのは失礼極まりない。


わかってる、だけど止め方がわからない。


「泣いてないっすから!」


思わず体育会系になり、陸先輩はぶはっと笑った。


「いいんだよ、菜月ちゃん。」

「なにがですか……」

「俺、決めたんだ。もう弱みにはつけこまないって。」

「どういう意味でしょう……?」

「タケルと菜月ちゃんのこと、応援してる。」

「なんでそんなに優しいんですか……」


私の問いかけに、陸先輩は穏やかに微笑む。


「前も言ったかな?俺、タケルのことも好きなんだ。こんな事言えばまた、郁にいい子ぶってんじゃねぇとか言われそうだけど。」


いい子ぶるとか、そんなんじゃない。


本当にいい人。ニコッと笑う陸先輩は、天使か何かですか?


それ以外に考えられません。


「菜月ちゃんが大好きな男だから、嫌な奴なわけないし。それに……」


陸先輩は、私の知らないエピソードを教えてくれた。


それを聞いて私の胸は、もっともっと苦しくなったけれど


……聞けてよかった。


陸先輩が教えてくれたエピソードは、ますますタケルに会いたくさせるものだった。
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