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恋花火
第53章 Destiny

「今日花火大会中止だって。」
花火大会当日、この日は休日だった。
ぼんやりと窓の外を眺めていたら
おじいちゃんが教えてくれた。
夜中から降り出した雨は、
時間が経つにつれ雨足が強くなり
空は黒い雲で覆われていた。
花火大会中止
別に行く予定はなかったけれど
なんだか少し、寂しい。
私の隣におじいちゃんが並び、二人で雨を眺めた。
「菜月、おじいちゃんじゃ話し相手になれないか?」
ふと、そんな事をいきなり言われた。
「え…、いつもお話してるじゃん。」
「おまえは昔から弱音吐かなかったな。」
ポン、と
しわしわの手で頭を撫でられる。
……私はこの手が大好きだった。
いつのまにか撫でられることはなくなっていたけど
小さい頃、おじいちゃんが仕事から帰ってくるのが遅くて
待ちきれなくて居間で寝ちゃってる私の頭を
よくこうして撫でてくれていたよね。
私本当は起きてたんだよ
でも、その手で撫でられるのが好きだから
いつも寝たふりをしていたの。
「お父さんとお母さんがいなくても、寂しいって一度も言わなかったな。」
……違うの、おじいちゃん
言わなかったんじゃないんだよ
私、寂しくなかったから
優しいおじいちゃんがいてくれたし
それに
いつも隣には、タケルが……
「よしよし」
おじいちゃんは、更にいっぱい私の頭を撫でた。
「タケルに会いたいよなぁ。おじいちゃんも会いたいよ。」
私はおじいちゃんに撫でられながら
ワンワン泣いた。
お父さんとお母さんがいなくても寂しくなかった。
だけどタケルがいないと、こんなにも寂しくて、辛い。
「会いたいよ……」
雨音を聞きながら
私はただただ泣き続けた。
泣き疲れて眠ってしまったのだろう
気付いたときにはソファに横になっていた。
おじいちゃんは仕事に行ったみたいだ。
家の中は、雨音に混じり
微かに時計の針の音がするだけ。
時計を見てビックリした。
もう三時間近く寝てしまっていたことに。
こうしてぼんやりしていると
思い出すのはやっぱりタケルのことばかりで
私は本当に病気なんだと思った。
タケルだけを想う
恋の病。
花火大会当日、この日は休日だった。
ぼんやりと窓の外を眺めていたら
おじいちゃんが教えてくれた。
夜中から降り出した雨は、
時間が経つにつれ雨足が強くなり
空は黒い雲で覆われていた。
花火大会中止
別に行く予定はなかったけれど
なんだか少し、寂しい。
私の隣におじいちゃんが並び、二人で雨を眺めた。
「菜月、おじいちゃんじゃ話し相手になれないか?」
ふと、そんな事をいきなり言われた。
「え…、いつもお話してるじゃん。」
「おまえは昔から弱音吐かなかったな。」
ポン、と
しわしわの手で頭を撫でられる。
……私はこの手が大好きだった。
いつのまにか撫でられることはなくなっていたけど
小さい頃、おじいちゃんが仕事から帰ってくるのが遅くて
待ちきれなくて居間で寝ちゃってる私の頭を
よくこうして撫でてくれていたよね。
私本当は起きてたんだよ
でも、その手で撫でられるのが好きだから
いつも寝たふりをしていたの。
「お父さんとお母さんがいなくても、寂しいって一度も言わなかったな。」
……違うの、おじいちゃん
言わなかったんじゃないんだよ
私、寂しくなかったから
優しいおじいちゃんがいてくれたし
それに
いつも隣には、タケルが……
「よしよし」
おじいちゃんは、更にいっぱい私の頭を撫でた。
「タケルに会いたいよなぁ。おじいちゃんも会いたいよ。」
私はおじいちゃんに撫でられながら
ワンワン泣いた。
お父さんとお母さんがいなくても寂しくなかった。
だけどタケルがいないと、こんなにも寂しくて、辛い。
「会いたいよ……」
雨音を聞きながら
私はただただ泣き続けた。
泣き疲れて眠ってしまったのだろう
気付いたときにはソファに横になっていた。
おじいちゃんは仕事に行ったみたいだ。
家の中は、雨音に混じり
微かに時計の針の音がするだけ。
時計を見てビックリした。
もう三時間近く寝てしまっていたことに。
こうしてぼんやりしていると
思い出すのはやっぱりタケルのことばかりで
私は本当に病気なんだと思った。
タケルだけを想う
恋の病。

