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恋花火
第53章 Destiny
そろそろ夕飯の準備をしなくちゃ


重い腰をあげると、身体が怠い。


変な時間に寝ちゃったせいかもしれない。


降り続ける雨を横目に、ため息が漏れた。


2月の雨は、少し雪が混ざっていてとても寒い。


今日はせっかく花火大会だったのに。


きっと楽しみにしていた人がたくさんいたはずなのに、本当に残念だなぁ……


今日は一段と寒いから、今夜は湯豆腐にしよう。


仕事で疲れて帰ってくるおじいちゃんに、熱々の出来立てを食べさせてあげたいな。


そう考えていたら


プルルルルルル


家の電話が鳴った。


必要ないんじゃない?と思うくらい普段鳴らない家の電話。


珍しいと思いつつ、私は受話器を取った。



「______松下さんのお宅ですか。」


電話の相手は、男性だった。


聞き覚えのない声。


「そうですけど……」


そのあと告げられた言葉に


こんなにも日常は簡単に崩れ去るものなんだと


この胸の痛みは覚えがある


そう思った。
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