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恋花火
第53章 Destiny
「今すぐ、市立総合病院に来てください。」


おじいちゃんが事故に遭い、病院へ運ばれたらしい。


スクーターで仕事に向かうおじいちゃん。


詳細はわからないが、車とぶつかったと電話の相手は言った。


私はすぐに家を飛び出し、言われた通り病院へと向かった。


「松下さんのご家族ですね。ご案内いたします。」


手術着のようなものを着たスタッフに案内されたのは、赤いランプが入り口でクルクル回っているところ。


"高度救命救急センター"


そう書いてある部屋。


「今、緊急のオペ中です。」

「オペって……」

「松下さんは頭を強く打っていて、意識不明の状態でした。ここに運ばれてきたときには、心肺停止で……」

「嘘!」

「最善を尽くします。」

「やだ!おじいちゃん!やだー!」


私は我を忘れ取り乱し、大声を出してしまった。


「……お孫さん、ですね?」


病院のスタッフの方は、優しく宥めてくれたけど


私は今すぐおじいちゃんに会わせてと叫んだ


けれど、それは無理な話。


「……長いオペになります。」


スタッフの方は私にそう言って


オペ室の方へと消えていった。


私はそこにあった長椅子に力なく腰を落とし


手術中であることを示す赤い光を


ただ、呆然と眺めていた。


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