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恋花火
第53章 Destiny
バタバタ


また、廊下を駆ける音がする


……おじいちゃんに何かあったの?


オペが難航しているの?


怖くて顔をあげることが出来ず、私は自分の膝小僧をただぼんやり眺めていた。


膝小僧にうっすらとある傷。


これは小学校のときの運動会で、転んで出来た傷だ。


あの時、私は足が遅いくせにリレーに選ばれた年で


どれだけ必死に走っても速く走れなくて


最下位でコースを走った。


ああ、もうダメ、無理、みんなごめん。


そう思っていると


"菜月!"


私のバトンを渡す相手はタケルだった。


"大丈夫だから!"


タケルはそう言って私のバトンを受け取ると、グングン抜いていって、五人抜きして1位でゴールした。


私はバトンを渡す時に転んでしまって、膝小僧は血だらけ。


みんなが、やったー!って喜んでるところをすり抜けてきたタケルは


私の膝を見て驚いていたね。


……懐かしいね……







「菜月!」


……タケルに会いたすぎて、幻聴まで聞こえてきたみたい。


タケルの声がする……


「おい、菜月!」


肩を揺さぶられ、ビックリして顔をあげた。


「え……?」

「ジジイは!?」

「え、なんで、タケル……?」


ハァハァと肩で息をするタケルが目の前にいて、呆然とする私をギュッと抱きしめてきた。


「本物……ねぇ、本物……?」

「たぶん本物。」

「たぶんってなに……」


タケルだ


タケルがここにいる


声、匂い、温もり


それはずっと私が求めていたもの


「タケル……おじいちゃんが…」

「うん。」

「いなくなる、みんないなくなる……」

「大丈夫。絶対大丈夫だから」


またそんな、根拠のないこと言っちゃって


だけどどうしてかなぁ


タケルが大丈夫って言えば、本当に大丈夫な気がしてくるよ


不思議だね





私はこの安心する腕の中で


いっぱいいっぱい泣いた。







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