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恋花火
第7章 不機嫌なGIRL
「声聞こえちゃうかも…。」

「いいっしょ。おかんしかいねーし。」

「ダメだって。私とこんなことしてるなんて知ったら、それこそ倒れちゃうよ…」

「いんだよ。あいつだって恋人いんだから。」


タケルのお母さんは、5年前


私たちがまだ小学生だった頃、離婚している。


「でも…」

「いいから。」


もう黙れと言わんばかりに、タケルは私の口をキスで塞ぐ。


「昔から泊まってんだから、こんなことしてるのなんか百も承知だろ。」

「…そうかなぁ」

「文句なんか言わせねーよ。」


あいつらだって好き勝手やってたんだから______


タケルはその言葉を言いかけて飲み込んだ。


小学生の頃、タケルのお父さんは女の人といなくなった。


タケルのお父さんは私にもとても優しくて、休みの日は海に連れて行ってくれたり、キャッチボールをしたり、そんな女の人といなくなっちゃうなんて思いもしなかったから…


タケルのお父さんがいなくなってから、タケルのお母さんは女手ひとつでタケルを育てた。


「俺、親よりもおまえといる時間のが長い。」

「私もだよ。」

「だから、俺らのことなんだかんだ言われる筋合いねーんだよ。」


タケルと私は


ずっとずーっと一緒だった。


結婚の誓いの言葉じゃないけど


健やかなる時も、病める時も


ずっと隣にいたんだ。


だからこれからもずっと……




ピリリリリ



夢中で身体を重ねていたら、タケルの携帯電話が鳴った。


「タケル…電話鳴ってる…」

「今それどこじゃない」


けれど、鳴り響く着信音。


切れても、すぐにまた。


「もー、誰だよ」


身体を繋げたままタケルは電話を手にした。



「誰だこれ?もしもーし」


すると電話の向こうから、声が。


"タケルくん…、会いたいの。今すぐ"


女の人の声


よく聞き覚えのある、声がした。
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