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恋花火
第10章 WARUGUCHI
私には恋人がいる。


あの日タケルにそう伝えてからは、ほとんど会話をしなくなった。


いつもどちらかに恋人が出来れば、SEXしなくなるだけで、会話はしていたのに……それすらもなくなってしまった。


"世界が広がらない"


私は自分が発した言葉に、少なからず後悔していた。


タケルと口をきかなくなったのは、恋人の存在のせいだけではない。


きっと私の言葉のせいだから。


私は自分自身のプライドを守るために、タケルを傷つけてしまったのだ。


本当はそんな事微塵も思っていないのに……。一度口にしてしまった言葉は取り消せないのだと、身をもって知った。


茜先輩とは上手くいっているのだろうか。


余計なお世話だろうけど、そんな心配をしてみたり。


部活のあとに仲良さそうに帰るタケルと茜先輩の後ろ姿をたまに目撃したので、きっと仲良くやっているのだろうと思った。


タケルが私を何度も可愛がってくれたあの指で、舌で、唇で


茜先輩を……


そう思うと胸がたまらなく苦しくなる。


胸に秘めた十何年分の思いは、容易く消えてはくれないみたい。



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