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Complex
第5章 居所
「流されやすくて、居心地がいい関係ばかり築いて自分に甘いことしてたから。それで誰かを傷つけることも想像できなかった。私は彼を屈託のない子供みたいな高校生のままに見てたんです。でも、現実ではずっと彼は大人になっていて。私は、それを気がつかないふりをして、傷つけた」
「だから、泣いてたの?」
「…わかりません。何もかも、わからなくなってしまったんです。本当に」
友香は言葉を切る。
そう、わからなかったのだ。
あの時に号泣させたものがなんだったのか。
それは今でもわからない。
「けど、あの時綾瀬さんが来てくれて。また、綾瀬さんに甘えてしまいました」
友香は手元にあるティースプーンで淡い黄金色の紅茶をそっと揺らす。
「救われたんです、綾瀬さんに。昨日だけじゃありません。お休みをもらっている間、空っぽな自分に気がついても前を向いていられたのは、綾瀬さんのおかげなんです、綾瀬さんが側にいて、私を見てくれるから。だから、ここに居られるんです」
「だから、泣いてたの?」
「…わかりません。何もかも、わからなくなってしまったんです。本当に」
友香は言葉を切る。
そう、わからなかったのだ。
あの時に号泣させたものがなんだったのか。
それは今でもわからない。
「けど、あの時綾瀬さんが来てくれて。また、綾瀬さんに甘えてしまいました」
友香は手元にあるティースプーンで淡い黄金色の紅茶をそっと揺らす。
「救われたんです、綾瀬さんに。昨日だけじゃありません。お休みをもらっている間、空っぽな自分に気がついても前を向いていられたのは、綾瀬さんのおかげなんです、綾瀬さんが側にいて、私を見てくれるから。だから、ここに居られるんです」