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Complex
第2章 始動
「あ、その信号越えたところにあるマンション。そのまま入れる?」
助手席から綾瀬が言う。
ジムから車で5分ちょっと。
体を温めるために、綾瀬はジムまで走って通って、仕事の日はそのまま歩いて駅まで行っているらしい。
女の子に車を出させるのは申し訳ないから。
と、綾瀬は自ら車を出すと譲らなかった。
そんなこと、気にしないで大丈夫と友香が何度も言ったが、最初のデートくらい格好つけさせて、との言葉に友香は折れた。
とは言っても、マンションまでは送ることになったけれども。
そのまま友香は綾瀬のマンションに車をとめ、乗り換えた。
「なんか、いろいろと意外です」
「ん?何が?」
「タバコ吸うところとか、車がこういうタイプとか」
少し硬めのシートにもたれながら、友香が言う。
「はは、どんな車乗ってるイメージだったの?」
「んー、外車とか。あ、でもベンツとかのいかにもって外車じゃなくて、アウディとか、おしゃれに乗ってそうな」
「どんなイメージだよ。車はね、移動手段。荷物も積めるし、ミニバン最高でしょ?」
確かに、広々とした空間はなんでも入りそうだ。
趣味はサーフィン。
ボードを積んだり着替えや荷物を入れると、こういった車が一番なのだそうだ。
それに俺、外車買うほど儲かってもないし、そんな力量も持ち合わせてないしね。
そう言う彼は、見栄を張らない。
でも。
彼も気合いを入れてくれたのだろうか。
それとも普段からこうなのだろうか。
ピシッとアイロンのラインの入ったパンツは、長時間座ってもシワができるとは思えない素材だ。
白いシャツも、袖口のボタン一つとっても。
一見シンプルだけれど、安物ではない。
接客業を長くしてきた友香の目は、誤魔化せない。
不釣り合いではないだろうか。
昨夜、何度も悩んだ挙句。
どんな場面でも大丈夫なようにシンプルなベージュのフレアのスカートに。
プライベートでも着られるようにと最近買った中心にレースの入った白いシャツ。
そしてカーディガン。
若作りするわけでも、無理に背伸びすることもない。
自分の身の丈に合った服装を選んだつもりだ。
友香はなに気ない振りをしながら、窓に映る自分の顔を眺めた。
助手席から綾瀬が言う。
ジムから車で5分ちょっと。
体を温めるために、綾瀬はジムまで走って通って、仕事の日はそのまま歩いて駅まで行っているらしい。
女の子に車を出させるのは申し訳ないから。
と、綾瀬は自ら車を出すと譲らなかった。
そんなこと、気にしないで大丈夫と友香が何度も言ったが、最初のデートくらい格好つけさせて、との言葉に友香は折れた。
とは言っても、マンションまでは送ることになったけれども。
そのまま友香は綾瀬のマンションに車をとめ、乗り換えた。
「なんか、いろいろと意外です」
「ん?何が?」
「タバコ吸うところとか、車がこういうタイプとか」
少し硬めのシートにもたれながら、友香が言う。
「はは、どんな車乗ってるイメージだったの?」
「んー、外車とか。あ、でもベンツとかのいかにもって外車じゃなくて、アウディとか、おしゃれに乗ってそうな」
「どんなイメージだよ。車はね、移動手段。荷物も積めるし、ミニバン最高でしょ?」
確かに、広々とした空間はなんでも入りそうだ。
趣味はサーフィン。
ボードを積んだり着替えや荷物を入れると、こういった車が一番なのだそうだ。
それに俺、外車買うほど儲かってもないし、そんな力量も持ち合わせてないしね。
そう言う彼は、見栄を張らない。
でも。
彼も気合いを入れてくれたのだろうか。
それとも普段からこうなのだろうか。
ピシッとアイロンのラインの入ったパンツは、長時間座ってもシワができるとは思えない素材だ。
白いシャツも、袖口のボタン一つとっても。
一見シンプルだけれど、安物ではない。
接客業を長くしてきた友香の目は、誤魔化せない。
不釣り合いではないだろうか。
昨夜、何度も悩んだ挙句。
どんな場面でも大丈夫なようにシンプルなベージュのフレアのスカートに。
プライベートでも着られるようにと最近買った中心にレースの入った白いシャツ。
そしてカーディガン。
若作りするわけでも、無理に背伸びすることもない。
自分の身の丈に合った服装を選んだつもりだ。
友香はなに気ない振りをしながら、窓に映る自分の顔を眺めた。