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Complex
第3章 変化
住宅地を抜け、ひたすら車は進む。
徐々に家々が消え、あたりは緑一色に染まった田んぼが広がる。

「のどかですねー」

つい、ぽーっとしながら呟く。

「そうでもないよ?窓開けてみて」

言われた通りに半分ほど窓を開ける。

「んん?」

近くに牛小屋があるらしい。
なんとも言えない香りが車内を包む。

「ま、のどかと言えばのどか、かな」

しばらくとりとめのない会話をしながら、行き先のわからないドライブをする。

先週の金曜日。
綾瀬の店はちょうど創立記念日だったらしい。
腕を振るうつもりで誘ったものの、告知が功を奏しすぎ、大変な賑わいだったそうだ。

「友香ちゃん、来なくて正解だったなぁ。会話もできなかっただろうし」

なんとなく、ほっとする。

気がつけば、また景色が変わってきた。
緑の世界を抜け、徐々に家が増えてくる。

「ね、こっちの外見ててね」

ゆったりしたカーブを抜ける。
すると。

「海!」

外には、波の揺れる広い地平線が広がっていた。
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