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Complex
第3章 変化
また家や木々に一旦は海の姿は隠れてしまったけれど。
開いたままの窓からは潮の香りが立ち込める。

しばらく進むと、堤防沿いに車が停められるスペースがあった。

誰もいない、海。

「こっち」

少し先を歩く綾瀬の後を追う。

けれど。
見栄を張ってはいた靴は、砂浜に足を取られて思うように進めない。
そんな友香に気付いた綾瀬は、何も言わずに友香の手を取る。

友香が反射的に綾瀬を見るも、一歩先を歩く綾瀬の表情は見えない。
手を引かれるようにして進むと、少し小さめの灯台があった。

中に入ることはできない。
でも、灯台の前にあるコンクリートでできたわずかなスペース。
その横に、柵に取り付けられた無数の南京錠がある。

「これ?」
「ああ、それ。よくあるやつ。恋人同士がお互いの名前を書いて、愛を誓うんだって」

綾瀬は興味なさそうに、海に視線を送っている。

大小様々な南京錠には、それぞれに名前や日付け、愛の言葉まで書いてあるものがある。
少し前の友香なら、バカにしていただろう。
けれど、心に余裕のある今は、なんとなくそんな恋人たちの姿を想像して楽しくなる。
もちろん、自らがこういったことをしたい、と思うには人生を知りすぎてしまったけれど。

灯台のコンクリートに二人で並んで座る。

目の前には、無限に広がる海。
穏やかな波は、キラキラと反射しながら、リズムを刻むかのように揺れている。

遠くに、オレンジ色に輝く太陽。
その光を浴びて、地平線の海は鮮やかに染まる。

「夕陽見るなんて、何年ぶりだろう」

友香の言葉に満足そうに綾瀬は頷くと、視線を海に戻した。


会話なんて、いらない。
並んで海を見る。
それだけで、満足。
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