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Complex
第4章 新天地
その日は挨拶を終えると、今後のチーム分けが行われた。
近くには大きなハウジングセンターがある。
店舗と現地で営業を行うもの、ハウジングセンターや各住宅メーカーと連携をとり顧客に営業するもの。
二手に分かれるために、スタッフは多めに配置されていた。
この人数を維持するような成果を出すことが、友香の仕事だ。

会社にもよるが、友香の会社は基本給自体はそこまでよくはない。
悪いわけではないけれど、同年代の他のサラリーマンに比べると支店長のポストにある友香ですら、負けてしまう。
ボーナスもない。

それでも社員が仕事を続けるのは、やはり歩合給の部分だ。
新築の分譲マンションの営業を一括で任された時には、基本給の半年分以上の歩合給がついたこともある。
腕のたつ社員は、毎年の市民税の通知に悩むほどだ。

そんな会社だからこそ、入社当時の友香のように軽い気持ちで入った人間は続かない。
かといって、モチベーションを長く保つには、プレッシャーも仕事量も膨大だ。

少し前の友香のような人間も数多い。
なのに、ここに集まった社員は誰もが新しい場所での未来に希望を見ている。

友香はいつか蹴りおとされてしまうかもしれない。
ストレスは今まで以上だろう。
そんなことを思いながらも、ポステイング用のチラシを黙々と作っていた。
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