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Complex
第4章 新天地
むくんだ脚は重たく、ついデスクに投げ出したくなる。
けれども社員だけでなく、内装業者や搬入スタッフが出入りするここではそれもままならない。
友香はとりあえず靴を脱ぎ、窮屈に縮こまっていた指先を解放する。
事務所の準備は部長に任せて、今日は他の社員と共に近隣のアパートやマンションにポスティングを行った。
狙いはワンルームではなく、家族や夫婦で住んでいそうな間取りの集合住宅に絞った。
郵便受けに入っているチラシが嫌われていることは友香もわかっている。
ポスティングをする友香でさえ、仕事帰りにポストを覗いてチラシが入っていると、やり場のない怒りがこみ上げるものだ。
けれど、意外なことにポスティング効果は高い。
週末になるとチラシを見たお客様が数組ではあるけれども来店する。
だからこそ、無駄だと思いながらも足を棒にしながら歩き回るのだ。
「店長、お疲れですねー」
事務職の女性社員が労ってお茶をそっと置いてくれる。
気の利く子だ。
二人だけの女性社員だ。
仲良くしていきたい。
その社員に声をかけようとした時、携帯が鳴る。
「あ、友香ちゃん?今大丈夫?」
まだ数日しか経っていないのに。
低く響く綾瀬の声に、友香は懐かしさを感じる。
けれども社員だけでなく、内装業者や搬入スタッフが出入りするここではそれもままならない。
友香はとりあえず靴を脱ぎ、窮屈に縮こまっていた指先を解放する。
事務所の準備は部長に任せて、今日は他の社員と共に近隣のアパートやマンションにポスティングを行った。
狙いはワンルームではなく、家族や夫婦で住んでいそうな間取りの集合住宅に絞った。
郵便受けに入っているチラシが嫌われていることは友香もわかっている。
ポスティングをする友香でさえ、仕事帰りにポストを覗いてチラシが入っていると、やり場のない怒りがこみ上げるものだ。
けれど、意外なことにポスティング効果は高い。
週末になるとチラシを見たお客様が数組ではあるけれども来店する。
だからこそ、無駄だと思いながらも足を棒にしながら歩き回るのだ。
「店長、お疲れですねー」
事務職の女性社員が労ってお茶をそっと置いてくれる。
気の利く子だ。
二人だけの女性社員だ。
仲良くしていきたい。
その社員に声をかけようとした時、携帯が鳴る。
「あ、友香ちゃん?今大丈夫?」
まだ数日しか経っていないのに。
低く響く綾瀬の声に、友香は懐かしさを感じる。