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Complex
第4章 新天地
自信。

少しの変化を望んだこの一カ月。
環境が変わって、その変化は大きなものになったのだろうか。

他の社員が気を遣ってか、友香のテーブルに来る。
それを確認すると平岩はふらりと浮いた足取りで隣のテーブルに移った。
それが、申し訳ない。
上下関係もなくしているように見えても、やはり誰かがこのテーブルに必ずついてくれるその気遣い。
友香は嬉しく思う反面。
何か違う思いがこみ上げる。

時計を見ると22時も半ば。
約束の時間に間に合わせるには、もう出なくては。

こんなにゆったりとした打ち上げだとわかっていたら今日予定を入れなかったのに。

違う、わざとだ。
行かなくてもいい理由を自分に見つけたのだ。
ここで中座するのが気が引けて、ずるずると伸ばすように。

その隠れた思惑に気がついた時、友香は鞄を手に取った。
部長から渡された封筒にさらに数枚の紙幣を入れる。

「ごめんね、この後予定があるの。みんなはゆっくりしていって」

変に気を遣ったと思われないだろうか。
そんな心配をしてしまうほどの声を聞きながら、友香は店を後にした。


携帯には、いつまでも待つ、と圭太からのメールが届いている。
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