この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Complex
第4章 新天地
どれだけそうしていたのだろう。
気がつくとコンコンと窓を叩く音がする。
友香は何も考えられず、ただそちらを向いた。

「…あやせ、さんっ」

覗き込むようにかがんだ綾瀬と目があう。

「どうしたの?こんなとこで」

窓ガラス越しにくぐもった声が届く。
驚いて声も出せない友香を見ながら、綾瀬は鍵のかかっていないドアを開けた。

「友香ちゃん?」

「綾瀬さん、なんで…」

「ああ、氷足りなくなって買い出しにきたら、見覚えのある車があるなぁ、と思って」

そうだった。
ここに来る途中、何度も綾瀬の店の存在を気にしていたのに。
まさか、こんなところを見られるなんて。

「ちょっと待ってて」

綾瀬は友香の姿を一瞥するとドアを閉め、電話をどこかにかけながら離れた。
精算機の横で飲み物を買うと、助手席に乗り込む。
ついさっきまで、圭太のいた場所。

「はい、喉渇いてない?」

素直にペットボトルに入ったお茶に口をつける。
一口飲むと、少しだけ今の状況を理解できる気がする。

「どうしたの?飲んでるの?」

なんて答えていいかわからず、頭を振る。

きっとマスカラも落ち、ファンデも流れて酷い顔をしているのだろう。
でも、無言の友香にそれ以上綾瀬は何も聞いてこない。

「明日、休み?うちで飲む?」

「こんな顔、見せられない」

「じゃあ化粧直しできたら店おいで。こんな状態で運転したら危ないよ。大丈夫だから」

何が大丈夫なのかわからないけれども。
綾瀬のその言葉だけで友香はなんとか笑顔を取り戻す。
それを見ると綾瀬は満足気に笑って車から降りた。

その後ろ姿を見ながら思う。
圭太の背中とは違う。
私を、引き上げてくれる人。
/113ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ