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やさしいんだね
第2章 情熱は二種類
 23時にもう一度迎えに来ると一方的に告げたソンの言葉を跳ね除けることが出来なかったのは、最後に見た実の父親である松浦と、千夏の姿が脳裏に浮かんでしまったからだ。






 塾の中は蛍光灯の青白い光で満ちている。
 時刻は21時20分。渋滞のせいでギリギリセーフといったところだ。
 特進クラスへの進級を希望している生徒はわざわざ電車に乗って通ってくる生徒も多い。
 そのため、テスト開始待ちのピリピリした同学年たちは、誰ひとりとして同じ中学の生徒がいない。





 だからこそ、小百合の顔色が悪いことを誰も気にしないし、気付かれもせずに済んだのだ。




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