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やさしいんだね
第2章 情熱は二種類
 まともな男や、若い男の身体を、小百合はむしろあまり知らない。

 彼女の身体の上を通り過ぎて行った、というより高確率でUターンしてくる男たちはみな、年齢が30より上を大きく回った者ばかりだ。
 
 そりゃそうだ。
 1時間で10万円なんて、まともな金銭感覚を持つ者なら、聞いただけで呆れ返るだろう。
 背後にいる神谷に至っては小百合に挿入してから1時間も、年のせいで勃起しきらない自身のものをごく僅かに動かし続けているだけなのに。
 それなのに、現時点で、10万円。
 自分好みの少女を、そんな大金を叩いてまで抱きたがるなんて。

 どっかの会社の偉いさん。
 市内に一等地をたくさん所有する資産家。
 ここらで一番大きい病院を経営する医者とか。
 または。

「どうしよう・・・小百合ちゃんに嫌われちゃったらさぁ神谷・・・フ、あの男のことも嫌いになっちゃうよぉ?あぁ、そうだぁ、フフ、尊寺サンのこと嫌いになっちゃおうっかぁ?う、うフフ・・・・そしたら小百合ちゃん仕事なくなっちゃうよねぇ?そうしたら、きもくて大嫌いな神谷にナマのおちんぽをズボズボ入れられることもなくなるもんねぇ・・・フフ・・・・うフフフ」

 苦痛に喘ぐ小百合の目線の先には床の上に脱ぎ捨てられた神谷の加齢臭が染み付いたダンヒルが。
 その胸ポケットにさりげなく付けられたバッジの、さりげなく輝く三文字のロゴに無意識に視線が止まった。

「そうだよぉ・・・神谷が尊寺サンのことを嫌いになったらねぇ?んんー?フフ・・・そうだよぉ・・・・みーんなまとめてタ・イ・ホ♪とかも、神谷は出来ちゃうんだもんねぇ・・・フフフフフ・・・・・・」

 こういう立場の男がもつ金銭感覚でしか、通常は不可能なことであろう。
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