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やさしいんだね
第2章 情熱は二種類
「お前らが突っ込まれんのと同じことだろ」

 だんだん、ソンの息が上がってきているのが小百合にも分かった。
 大き過ぎもせず、それでいて小さ過ぎもしないソンの、血管が脈打ったモノが、何度も千夏の排泄器官の中に突っ込まれている。
 そのたび千夏は大きく喘いで、ソンの本名を呼んでいた。

 モニターの中の2人は雇い主と従業員でもなく。
 欲求不満な従業員とそれを満たす雇い主でもなく。
 ただの、愛し合う、男同士。

 少なくともソンは千夏のことを、私よりは、いや、お金に近いレベルで、愛していたはずなのに。
 そう考えながら、小百合は自分の身体の中では何十分も持続し、結果果てなかった男がいとも簡単に終わる姿を見届けていた。


 
 千夏は、ソンが小百合をこの仕事に誘う前からずっと彼のそばにいた。
 千夏はいつもソンの右腕に自身の細い真っ白い腕を絡めていた。
 ソンが小百合の本当の父親を殺した時も、ソンの隣にいた。
 隣にいて、無残な姿で床の上に転がる松浦の姿を笑うソンのことを、じっと見上げていた。

「ヒカルはどーして約束を破ったんだか、未だに、意味が、わからん」

 ティッシュで残骸を拭うソンはやはり無表情だった。
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