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やさしいんだね
第3章 教師はなにも
 教室内は休み時間よりも騒がしい。
 小百合はいつ就学時間が終わりのHRの時刻を迎えていたのか気付かなかった。
 教壇に立つ八田の背中から視線をテキストに移す。
 いつの間にか塾の宿題は終わっていた。


「君たちにとってはどうでもいい話になると思うけれど」


 八田はたいして大きな声を出そうとしている様子もないのに、地声が大きいのかまたは単純に感情を顔に表さない性分なのか、先ほど小百合の背後に立ったのと変わらぬ様子で教卓に手をつき、誰にでもなく、騒がしい教室全体に向かって、クラスメイトの誰もが話と手を止めて振り向かせてしまうくらいの音量で話を始めた。
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