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やさしいんだね
第3章 教師はなにも
「ほら、終わったんだ。満足したんだろ。ならさっさと寝ろよ。明日も学校だろ」

 勤労時間外のソンは素っ気なく小百合にシャワーを薦めると同意も否定もせぬまま、またもやこの前と同様にパソコンデスクの椅子を引いた。
 小百合が泣き腫らした瞼でシャワーから上がってバスタオルで髪を拭いながら部屋に戻ってきた頃には、ソンは再び勃起したものを右手で上下に擦り、やはり白い画面の中に写るヒカルと自分とのセックスを無表情のまま眺めていた。

「好きだねぇ。やっぱり私の身体じゃ満足しないんだ」
「どうだっていいだろ」

 画面の中ではヒカルがソンのものを口に咥えている。
 終始笑顔で、終始どうだっていいようなことをソンに語りかけながら。

「ソンは千夏がいなくなって寂しくないの?」

 だから、そのようなことをソンに尋ねてしまったのかもしれない。

「寂しい?」

 千夏を、いや、ヒカルを消した張本人に。
 ソンは口の端だけをわずかに歪め、ハッ、と呆れたように笑った。

「そうだな、寂しいな。あいつ俺を慕ってたからな」

 じゃあどうして?
 と、聞くほど、小百合は馬鹿ではなかった。
 
 おやすみ。ありがとう。

 それだけ言って背を向けたのは、ソンがモニターに視線を釘付けにしたままティッシュを数枚引き抜いたからだ。

 
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