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やさしいんだね
第2章 情熱は二種類
 プー、プー、プー。


 小百合はペンとiPhoneを机の上に置き、すぐに引き出しから鏡を取り出した。
 
 “色黒さん”と初めて会ったとき、彼がしつこいくらい何度も何度も綺麗だと褒めてくれた薄いブラウンの瞳で、鏡の中を凝視する。

 そこ写るのは、丸い瞳にくっきり二重、長くカールした睫毛、鼻はすらりと高く、柔らかい頬には淡いピンク色がさし、口角の上がったふっくら艶々した唇をきゅっと結んだ、まるでつくりものの人形のような端正な顔立ちをした少女だった。


 一昨日額に出来た小さいニキビが気になったのだが、それはもう跡形もなく治ってしまっていた。

 ホッとして鏡をしまうと、今度は学校から着て帰ったままのセーラー服とプリーツスカートを脱ぎ捨てた。
 さらに下着すら身体から剥ぎ取ると、今度は大きな全身鏡の前に立つ。

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