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初音さんの二十日間
第2章 14年後のマシュマロちゃん
水曜日。

するつもりのなかった残業にイライラしたあげく、帰り際に呼び止められたロスタイムのせいで、私は東京駅構内を小走りしていた。

20分ほど前に、柊二くんから到着メールが届いている。

慣れない場所で荷物を抱え、右往左往していたらどうしよう。
あの日のマシュマロちゃんの泣き顔がちらついて焦る。

ようやく待ち合わせ場所の銀の鈴に近づいて、はっとした。



すんげぇ人!!



こんなにも待ち合わせをする人がいるとは思わなんだ。
しかも高校生になった柊二くんの姿を知らないじゃないか。
なにやってんだ私。

「と、とにかく電話…」

教えられていた番号にかけると、ツーコールで応答があった。

『もしもし』

「あ、柊二くん?遅くなってごめんね!いま銀の鈴着いた」

「忙しいのに、すんません」

うお!
14年ぶりの柊二くんは、当たり前だけど声変わりしていて、しっかりと男性の声だ。

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