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初音さんの二十日間
第10章 青春への乱入!
翌朝、会いませんように会いませんように…と脳内で念仏を唱えながら出社するも、願いむなしくエレベーター前で山辺と一緒になってしまう。
いくらなんでも無礼な別れの挨拶だったと、昨夜は猛省して眠れなかった。
「おはようございます」
横顔に挨拶するも、視線しか動かさないので心が見えない。
「うん、おはよう」
箱に乗り込み目の前にある肩口を見つめる。
美しく丁寧に縫製されたコートに守られて、その下の肩が落ちているのか怒っているのかわからない。綺麗に刈られた襟足からトップの無造作な仕上がりはいつも通りだ。
開発の階に着き、降りようと一歩踏み出した山辺に声をかけた。
「課長」
振り向いた山辺の顔。
その表情を正面から受けて微笑んだ。
「肩に糸が…」
指で摘まんで見せてやる。
「あ、ああ、ありがとう」
そそくさと去っていく山辺に向かって、その糸屑をふっと吹いた。
ああ、終わったなー。
そして清々しく金曜日が始まった。
いくらなんでも無礼な別れの挨拶だったと、昨夜は猛省して眠れなかった。
「おはようございます」
横顔に挨拶するも、視線しか動かさないので心が見えない。
「うん、おはよう」
箱に乗り込み目の前にある肩口を見つめる。
美しく丁寧に縫製されたコートに守られて、その下の肩が落ちているのか怒っているのかわからない。綺麗に刈られた襟足からトップの無造作な仕上がりはいつも通りだ。
開発の階に着き、降りようと一歩踏み出した山辺に声をかけた。
「課長」
振り向いた山辺の顔。
その表情を正面から受けて微笑んだ。
「肩に糸が…」
指で摘まんで見せてやる。
「あ、ああ、ありがとう」
そそくさと去っていく山辺に向かって、その糸屑をふっと吹いた。
ああ、終わったなー。
そして清々しく金曜日が始まった。