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初音さんの二十日間
第12章 口は幸いの元?
「待っててね。すぐに追いつくから」

チュンと唇を触れあわせ、私たちはしばらく、黙って互いの体温を感じあった。

それは今までのように熱をぶつけて挑発しあうような抱擁ではなく、深くて優しくて穏やかで、魂が交感するように清らかなハグだった。



この子の頑張りが報われますように。
今まで学んだすべての知識を、余すことなく答案用紙にぶちまけられますように。



そう願う心の中に、初音さん頑張れ!というエールが聞こえた。うわ! シンパシー!



カラダを離して笑顔を交わし、気合いを入れて

「よし! 行くぞ!」

と玄関を開ける。


2月の朝は冷たくて、でも透明で。
うん、きっとうまくいく!そんな予感がキラキラと舞っていた。

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