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初音さんの二十日間
第13章 初音さんの二十日目
あんまりにも驚くと声が出ないんだね。
それに足が震えるんだね。


「腹へったよー、初音さん」

にこにこと曲がり角から現れた、私の王子様。
二十日前とおんなじ長い手脚で、髪はサラッと毛先だけ遊んでて、笑った顔はとろけるようなイケメンで、大好きな大好きな王子様!


「お土産もってきたよ!」


両手で広げたその用紙…



合格通知書!!



「ビックリさせようと思って黙ってたんだ。それとね」

同じように広げて見せてくれた



「本日卒業いたしました!」



卒業証書。



もうもうもう、この子ったら!



「今日からまた初音さんチの子です。よろしく!」



おめでとう!おめでとう!
そして私にも、おめでとう!



差し出された右手をすり抜け、涙も拭かずに飛び付くと、食べかけの肉まんがコロンと転がった。




【おしまい】


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