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初音さんの二十日間
第3章 初音の心は母心
「やっぱ初音さん変わってないや」

「へ?」

「そーゆう世話焼きんとこ」

「そ、そお?」

「うん、あと寝起きの髪がバーバー田端んとこも」

「……」

中指を立てて威嚇すると

「あはは、うそうそ。つうか、時間ダイショブすか?」

やば!
のんびりしすぎた!

慌てて支度をしてパンプスに足を突っ込みながら

「晩ごはんはちゃんと作るから!コンビニ弁当萌えとかしないで待っててよ!」

振り返ると、寝癖イケメンが笑いながら見送ってくれる。

「りょーかい。いってらっしゃい」

「いってきます!」

見送られて出勤するなんて、初めてかもしれない。
残業にならないようがんばろ。

朝の澄んだ空気を吸い込みながら、いつもより軽く感じる足取りで駅へと急いだ。


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