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初音さんの二十日間
第4章 やらしさと、切なさと、後ろめたさと
冷めてしまったシチューを暖め直し、仕切り直した夕食はなんだか妙に照れくさい。
「メシ時になると泣けちゃう病」
「ふふっ、だね」
「俺、かたしときますから風呂どーぞ」
「あ、いい。作ってもらったから私やる」
「顔、ぐちゃぐちゃっすよ」
はっ!盛大に重ねたファンデーションがドロドロと顔面で渦を巻いている気配!
「じゃ、じゃあお先に」
湯船にカラダを沈めると、山辺を思い出す。
勢いだけで始まった関係だった。
最初の頃こそ時間とお金をかけてくれていたけれど、今は自分の都合ばかりで調子のいいズルい男だ。
「けど、ズルい男にしちゃったのは私にも責任あるんだよな、きっと」
いつも彼の言いなりだった。
逢いたいと言われれば仕事を放り出して駆けつけた。
酔っぱらっての突然の訪問も、喜んで受け入れた。
朝まで一緒にいたくたって引き留めたことはなかった。
だっていつも優しかったから。
止まったはずの涙が、ぽたりと湯船に落ちる。
カラダだけの付き合いになっても、いつも私が満足するまで、ゆっくりと時間をかけて愛してくれた。
一緒にいるときは、本当に優しい人だった。
別れよう。
今を逃したら、もっともっと辛くなる。
別れよう。
柊二くんに聞こえないよう、声を殺してしばらく泣いた。
「メシ時になると泣けちゃう病」
「ふふっ、だね」
「俺、かたしときますから風呂どーぞ」
「あ、いい。作ってもらったから私やる」
「顔、ぐちゃぐちゃっすよ」
はっ!盛大に重ねたファンデーションがドロドロと顔面で渦を巻いている気配!
「じゃ、じゃあお先に」
湯船にカラダを沈めると、山辺を思い出す。
勢いだけで始まった関係だった。
最初の頃こそ時間とお金をかけてくれていたけれど、今は自分の都合ばかりで調子のいいズルい男だ。
「けど、ズルい男にしちゃったのは私にも責任あるんだよな、きっと」
いつも彼の言いなりだった。
逢いたいと言われれば仕事を放り出して駆けつけた。
酔っぱらっての突然の訪問も、喜んで受け入れた。
朝まで一緒にいたくたって引き留めたことはなかった。
だっていつも優しかったから。
止まったはずの涙が、ぽたりと湯船に落ちる。
カラダだけの付き合いになっても、いつも私が満足するまで、ゆっくりと時間をかけて愛してくれた。
一緒にいるときは、本当に優しい人だった。
別れよう。
今を逃したら、もっともっと辛くなる。
別れよう。
柊二くんに聞こえないよう、声を殺してしばらく泣いた。