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初音さんの二十日間
第7章 与ひょうの恋
再会した瞬間から子犬のように懐いてくれた柊二くんが、あんなによそよそしくなってしまったのは、どう考えても昨夜私がなにか粗相をしたせいだ。

アイスを全種食べたいと言ったのがいけなかったのか?……んなわけないか。

だとすると、あのアレしか思いつかない。

口移し…からの、キス。

あれが夢じゃなかったんだとしたら…。


ダメだと言われたのに頭を抱え込んで「もっと」とねだった気がする。とんだセクハラだ。メタボ課長以下だ。

彼女がいるのにこんな年上に唇を奪われて、そりゃ私と顔を合わせたくないよね。嫌われても仕方ないよね。私のワガママに、拒まず応えてくれた柊二くんの優しさに懺悔したい。



「私のバカ」



あのキスで魔法にかかって、あのキスで失った。
なにそれ、どんだけ短期集中型決戦なわけ。


昔の優しい初音お姉ちゃんが、セクハラ女になってしまっていた事にショックを受けて、夕鶴のつうのように私から飛び立って行ってしまうのかな。

あの子は母親の不倫に傷ついて、ここに逃げてきたというのに。

なにやってんの私。
本当に最低の最悪だ。
ハーネス無しでバンジーしてこい。


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