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初音さんの二十日間
第8章 鬼の居ぬ間の
「どお?美味しい?」
暖かい湯気のもとは根菜のスープだった。
「うん、このプチプチしたのが美味しい」
「それね、押し麦。美容にいいらしいっすよ」
「麦ぃ?へええ」
口に入れるとホロホロ崩れる鶏肉と、舌だけでつぶれるほど柔らかい大根と、そして何より湯気の向こうにあの子がいること。なんて幸せな味なんだろう。
「美味しい」
「そう?よかった」
嬉しそうに笑う顔。
見たかった。これ見たかった。
帰らずにいてくれたんだね。
それだけで胸がいっぱいだよ。
土曜の事を謝ろうと思っていたが、今は戻ってきたこの柔らかな空気を壊したくなかった。
暖かい湯気のもとは根菜のスープだった。
「うん、このプチプチしたのが美味しい」
「それね、押し麦。美容にいいらしいっすよ」
「麦ぃ?へええ」
口に入れるとホロホロ崩れる鶏肉と、舌だけでつぶれるほど柔らかい大根と、そして何より湯気の向こうにあの子がいること。なんて幸せな味なんだろう。
「美味しい」
「そう?よかった」
嬉しそうに笑う顔。
見たかった。これ見たかった。
帰らずにいてくれたんだね。
それだけで胸がいっぱいだよ。
土曜の事を謝ろうと思っていたが、今は戻ってきたこの柔らかな空気を壊したくなかった。