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純の恋人
第7章 真実の破片
「活動休止してから、昌哉と翔は働き出した。休止といっても、ほぼ解散みたいなものだからね。一応事務所に二人の籍は残っているけど、僕は事務所も辞めたし。純は大学生として、学校に通い始めたんだ」
私の夢みたいな生活は、そこで終わってしまったんだろう。人気があったバンドとはいえ、仮面を外せば私はただの人なのだから。
「僕は真子と共に、選挙活動に励んでいた。純のお父さんを悪く言うのは申し訳ないけれど、あの人がトップに立っちゃ駄目だ。裏金がどうとか悪い噂もよく聞くし、真子も幸せになれない。僕はこの国を、あるべき姿に戻したい。だから、マスカレードを辞めても立候補したんだ」
「マスカレードの元メンバーだって明かしたのも、勝つためですか?」
「ああ、メディアに認知されれば、それだけ票数は集まるからね」
多分松永さんは、マスカレードにとってブレインだったんだろう。だから松永さんが抜けて、私達はバラバラになってしまったんだ。
「皆、その後も平和にやっていると思っていたんだけど……ある日、真子から相談を受けたんだ。純の様子が何かおかしいって」