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純の恋人
第7章 真実の破片
「それと、純。彼――国重 一さんについても、調べさせてもらった」
すると松永さんは、敵意を浮かべた目を国重さんに向ける。
「純は一度警察へ被害を訴えたのに、取り合ってくれなかったとか。事故の隠蔽もそうだけれど、僕は正直、あなた方警察を信用出来ない」
「まあ、俺を信用しないのは当然だな。俺だって同じ状況なら、絶対俺の立場の人間は信用しない」
「でも、僕一人の捜査に限界があるのも確かだ。僕は絶対当選して、この街にはびこる癒着を剥がさなきゃいけない。その間純を任せられるのは、やっぱり公的な機関だ」
「触れるな、と言われた事件を勝手につついてるんだから、公的でもないけどな」
「投票日は、もうすぐです。もちろん当選すれば、今より忙しくなるのは確かです。今は国重さん、あなたに、純をお願いするしかありません」
敵意を向けていたのに、松永さんはそれを振り切って頭を深々と下げた。色々と言いたい事を飲み込んでの頼み、それがどんな思いかは、想像しつかない。
「今回の事件は、全て警察の失態だ。だからこそ……絶対、犯人は逃さない。必ず、捕まえてみせる」