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純の恋人
第7章 真実の破片
「でも結局、残りの二人も恋人だと名乗りましたよ?」
「それは、正直誤算だった。記憶がないのをいい事に間違いを擦り込むなんて、そんな馬鹿な真似を二人ともするとは思わなかったんだ。端から見れば、僕だって同じなんだけれど」
「でも、松永さんが本当に私を大事にしてくれていたのは分かりました。他の二人と間違って、松永さんは親切でしたから」
そういえばイドさんも前に、オススメは松永さんとか話していたっけ。他人の目から見ても、松永さんは優しく見えたんだろう。
「いや、僕は結局、何も出来ていないよ。水面下で二人を調べていたんだけれど、あまり成果はなかった。分かったのは、翔の方が、ここ一ヶ月くらい、よく純と会っていた事くらいかな」
「多分それは、私がストーカーの被害を田中さんに話したからだと思います。田中さんとストーカーについて話した記憶、思い出しました」
「そうか、翔には相談していたのか。あいつ、それなら僕に教えてくれればよかったのに」
ここでも名前が挙げられるのは、田中さん。今までの情報を集めると、ストーカーに一番近いのは、田中さんだ。